社会の急速な反映

9月28日(水)

選択授業の期末テストがあり、私が担当した入試問題クラスも某大学の過去問を使って実施しました。

みんな真剣に問題に取り組んでくれたのはいいのですが、試験中に学生の答案を覗き込んでみると、漢字の書き取り問題に間違いが目立ちました。全問答えたからとボケッとしている学生が現れ始めた頃、我慢しきれなくなり、「自分が書いた漢字をカタカナの代わりに文の中に入れて、文全体の意味が通じますか。まだ時間がありますから、本当にその漢字でいいか、もう一度確かめてください」とクラス全体に注意してしまいました。

制限時間が来て、答案を集め、採点してみると、「社会の急速なハンエイ」が「反映」になっていたり、「こどもがカンシンをもつ」が「感心」だったりという誤答がちょこちょこ出てきました。「繁栄」は字が難しいから思い浮かばなかったのでしょうか。「カンシン」という字を見たら条件反射的に「感心」と書いてしまうのでしょうか。

漢字の授業の中で行うテストなら、出題範囲が限られていますから、漢字に置き換える部分だけしか見ていなくても点が取れることもあります。でも、いやしくも大学の入学試験ですよ。出題範囲は狭く見積もっても常用漢字全体ですよ。問われる漢字には“無限の可能性”があるんですよ。なのに「ハンエイ」を自動的に「反映」に変換して何とも感じないのはどうかしています。「繁栄」という単語を知らないのならいざしらず、このクラスの学生は絶対にそんなことはありません。なのに何の迷いもなく「反映」と書いて平然としているのはどうかしています。

そういう困った人たちの中にも、ごく近い将来、本物の大学入試で漢字の問題に取り組む学生がいます。そういう時期に至っても、まだこんな答案を書いているやからがいるということは、担当した私の力不足なのでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です