9月2日(金)

Lさんは漢字のない国から来て、初級から順調に進級してきて、上級に手が届くレベルにまで達しました。しかし、今学期はピンチです。中間テストは、読解が不合格で文法もやっと合格という成績でした。漢字・語彙は、かなり勉強したのか、漢字の読み書きはパーフェクトに近い成績でした。しかし、文意に合う語彙を選ぶ問題はたくさん間違えていました。つまり、伸び悩みの原因は語彙力不足だったのです。

漢字は、ひたすら何回も書けば手が覚えてくれます。書いた漢字の上に振り仮名をつければ、読みも覚えられるでしょう。しかし、そうやって覚えた漢字の言葉をどこでどのように使うのかは、そう簡単に身に付きません。また、漢字が読めるのと、その漢字が使われている文の意味が理解できるのとは違いますし、ましてや漢字の言葉がたくさん出てくる文章全体の内容の把握となると、読み書きの力が直結するわけではありません。

Lさんは、今、そういうことを痛いほど感じています。私がLさんに語彙不足を指摘すると、Lさんは涙を流しました。悔し涙でしょう。自分に対する無力感、自分の目の前にある壁の高さに対する絶望感を抱いているのかもしれません。ここからもう一段高いところへ上るには、この壁を打ち破らなければなりません。

中級は、多くの卒業生が一番辛かった時期として挙げるレベルです。勉強疲れと伸び悩みとゴールの遠さと、そういった諸々が一気に押しかぶさってきます。Lさんは、その一番辛い時期にさしかかっているのです。中間テストの間違い直しをした後に見せてくれた笑顔に、望みをかけたいです。

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