8月10日(水)
大学入試の過去問を上級の学生にさせてみると、気懸かりなことが見えてきています。それは、記述式の問題の答え方です。選択肢の問題は十分に答えられるのですが、たとえ短くても文で答える問題に答え切れていないのです。過不足のありすぎる答えだったり、字数制限を無視したり、答えの形が整っていなかったりなど、減点の要素たっぷりの答えが答案用紙に満開です。
答えがまるっきり的外れではないのです。方向性は合っているのですが、きちんと答えることができていません。違和感を抱かせるような答えと言ってもいいでしょう。文章の内容は理解しているけれども、その理解したことを他人にわかるように表現することに問題があるのかもしれません。あるいは、なんとなくしかわかっていないから、ぼやかした答えをしているのかもしれません。いずれにしても、詰めの甘さが感じられます。
学生たちの多くは、選択肢のテストには慣れています。しかし、国でも記述式のテストはあまり受けていないそうです。受けていても、本文からできるだけたくさん文を抜き出せば点がもらえるとか、逆にキーワードだけ書いても点になるとか、日本の試験の答え方とはだいぶ違う習慣のもとで育ってきたようです。そういう学生たちにとって、簡にして要を得た答えを求める日本の国語テストの流儀が重い負担になることは、想像に難くありません。
でも、そういう答え方の延長線上に、大学でさんざん書かされるレポートがあると考えると、受験勉強での訓練にも意義が感じられます。答え方を事細かに注意すると、学生たちはあまりおもしろそうな顔をしませんが、遠慮なくビシバシ鍛えていかなければなりません。