3月20日(金)
アメリカの大学のプログラムでKCPへ来ている学生たちは、学期末に発話テストがあります。今週は何人かの学生のテストをしました。毎学期このテストをすると十人十色だと思います。アメリカは世界中から人が集まっていることを強く感じさせられます。
今学期は「主婦の友」を読んでいるというHさんがいちばん特徴的だったでしょうか。日本の女性史について研究しているというだけあって、その方面に関しては私も太刀打ちできないほど専門的な話が日本語でできます。テストであることを忘れて、自分の興味であれこれ聞いてしまいました。
その一方で、Sさんはほとんど会話が成り立ちませんでした。普通はゼロで入学しても3か月勉強したら自分の身近なことは話せるようになるのですが、Sさんは「いつアメリカへ帰りますか」なんていうのもジェスチャーを交えなければ通じませんでした。「専門は何ですか」は、もちろん「???」。「先生、それはSさんにとっては上級の質問内容ですよ」と、Sさんを教えているT先生。
そのT先生の話によると、確かにSさんは授業についてこられない状態ですが、授業には参加しようとしているそうです。断片的にでも理解できることがあると、そこから何とか話題に食いつこうとするのだとか。私との会話テストではコミュニケーションを取ることなど到底不可能だと思いましたが、コミュニケーションを取ることは好きなのでしょう。
初級のMさんは、漢字が全然だから今のレベルをもう一度やりたいと、上級クラスに入れてもやっていけそうなくらいの流暢さで話していました。Mさんは漢字以外は自信を持っているようでしたから、来学期からの教師が上手に育てていけば、Mさんの留学期間が終わる半年後にはかなりの使い手になるだろうと期待しています。
こういう濃い学生がクラスにいると、クラスが刺激的になります。アジアの学生は、そういうクラスを求めています。私たちもただアメリカの学生におんぶしてもらってクラスを作り上げていくのではなく、どちらの学生も力が発揮できる、お互いに伸ばしあっていける空気を醸し出していかねばなりません。