背中

4月8日(火)

お昼少し前、先日この稿で取り上げたYさんが帰国の挨拶に来ました。明日、帰国するそうです。国で就職先が見つかったとのことですから、こちらもホッと一息というところです。ずっとYさんを見てきたK先生は、学生を引き連れて、4月期の始業日恒例ともいえる御苑の花見に出ていました。Yさんに初級の学生への通訳などでさんざん助けてもらったM先生も、午前中は授業でした。30分ばかり待ってもらい、2人の先生が職員室に戻ってくる頃合にまた来てもらいました。

K先生とは、長い時間話していました。いろいろと積もる話があったのでしょう。努力は、日本での進学という当初の夢をかなえるという形では実を結びませんでしたが、Yさんは、表情を見る限り、別の形で実を結ばせたのかもしれません。K先生にそんな話をしているようにも見えました。そして、午後の授業が始まる少し前に、笑顔で手を振りながらKCPを後にしました。

吹っ切れたと思っちゃっていいのかなという気はしましたが、Yさん、あなたにとってKCPで勉強した月日は、決して黒歴史じゃないですよね。お土産の紙袋を差し出したその手で何かをつかみ、そしてそれを握りしめていますよね。今年もあなたのようなすばらしい学生にめぐりあい、立派に育て上げたいと思っています。

Yさんの姿を目にするのも、おそらくこれが最後でしょう。でも、明るい色合いのスプリングコートをまとって新たな道に第一歩を踏み出そうとしているYさんの背中を、そっと押してあげたくなりました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です