次の時代に

3月11日(火)

卒業式前日の上級の教室は、どこか浮き立っています。それでも、教師としては教科書の所定のページまで授業を進め、卒業生に対しては勉強の区切りをつけ、卒業式以後も勉強を続ける学生たちにはこれからも勉強が継続するというシグナルを与えなければなりません。

授業の最初に明日の卒業式のお知らせなんかをしてしまうと、卒業生の気持ちは完全にどこかへ飛んで行ってしまうでしょうから、そういったことはすべて後回し。姿が見えない卒業生もいましたからね。そして、昨日の続きの読解。本文は終わっていて、内容確認問題と、本文に出てきた表現・語彙の勉強をしました。

このクラスのいいところは、卒業生は浮ついているものの、残る学生たちは宿題もやってきたし、課題にも前向きに取り組んでいるところです。今までの経験から言うと、残る学生も卒業生につられてフワフワしてしまうことが多いのですが、このクラスの学生は友達に会うためだけに来ているような卒業生をしり目に、ノートをとったり例文を考えたりしていました。

現在の上級クラスで4月以降も勉強を続ける学生たちは、来年度の主力メンバーです。6月のEJUで高得点を取って“いい大学”に進学したり、7月のJLPTで満点かそれに近い成績を挙げたり、入学式をはじめとする学校行事で通訳などとして活躍したり、とにかくあらゆる場面で下級生の到達目標として君臨してもらわなければ困ります。ですから、向学心の片鱗がうかがわれる授業態度が頼もしく映りました。

授業の最後は校歌の練習です。明日の式で歌います。歌詞に出てくる言葉と“KCP”の関連を説明したら、2回目は、少しは声が出るようになりました。

明日からは、この教室は使いませんから、いすを机の上にあげて帰ってもらいました。整然と並んだいすと机を見て、卒業生たちが日本語を使って幸せになれますようにと、神様もいないのに祈ってしまいました。

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