12月19日(木)
3時頃、Qさんが退学手続きに来ました。配偶者のDさんの就職が決まったので、家族滞在ビザにするそうです。今学期何回か「次の学期も勉強すれば卒業だよ」と誘ってみましたが、最終的に退学の道を選びました。
QさんもDさんも初級クラスで受け持ちました。Qさんはともかく、Dさんはいつも日本語より英語が先に出てきてしまい、なかなか上達しませんでした。今では初級レベルの主みたいな学生です。Dさんの場合、日本で就職することが来日の主目的であり、できることなら日本語の勉強はしたくなかったのです。そのため、授業も上の空で、仕事のことばかり考えていました。
「日本語ができると早く就職できるよ」と気持ちを勉強に向かわせようとしましたが、決して揺らぐことはありませんでした。Dさんにとって、KCPは就職活動の足場でしかありませんでした。どうやら仕事が決まったようですが、Dさんの日本語力からすると、仕事で使うのは国の言葉なのでしょう。
QさんはDさんに比べればずっと日本語の勉強に力を入れていました。曲がりなりにも中級まで上がってきたのですから。そのQさんにしても、授業料を払わずに日本にいられるのならそっちにしようという考え方なのです。もう少し勉強を続ければ、日本語で仕事ができるくらいにはなると思うんですがねえ。
日本で暮らすなら日本語ができなければならない――とまでは思いませんが、同国人のコミュニティーの中に閉じこもって生きていくというのは、どうなのでしょう。Qさんたちはそんな生活をしていくのではないかという気がしてなりません。狭くて息苦しいような気がしますが、そうでもないんですかね。
夕方、Dさんも退学の手続きに来ました。2人に幸あれと祈るばかりです。
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