スマホ対作文

11月29日(金)

今週も作文の日が来ました。おとといのこの稿に載せたように、上手すぎる作文を書いたLさんに事情聴取しようと手ぐすね引いて待ち構えていたのですが、何と欠席でした。思いっきり肩透かしを食らいました。授業後に電話をかけてみましたが応答せず、いったい何をしているのでしょう。

気を取り直して先週の作文を返却し、話し言葉が混じっているとか、文の最初と最後が合っていないとか、自分の主張を強化する構成を教えたのにそれができていないとか、フィードバックとも採点者としての愚痴ともつかない感想を並べ立てました。そして、新しいテーマを与え、もう一度こういう構成で書けと指示を出し、教科書やノートは参考にしていいけれどもスマホは禁止だと改めて確認し、書いてもらいました。

しばらくはおとなしくしているだろうと思い、出欠状況を入力し、また教室を見渡すと、RさんとJさんがスマホを手にしているではありませんか。注意すると、「単語を調べました」とJさんが少し不満そうに答えました。スマホで調べなければわからないような単語を使ってほしくないからスマホ禁止にしているのです。そういう単語を使うと、ほぼ間違いなく、その単語だけが浮き上がった不細工な文になります。

しばらく経つと、黙々と書いていたSさんがスマホに手を伸ばしました。「先生、できました」と言います。一応、原稿用紙は埋まっています。私が読んでみると、2行目に間違いがありました。それを指摘し、ほかにも同じような間違いがないかどうか、自分で読み直せと指示しました。他の学生の様子を見て、フッと振り返ると、Sさんはまたスマホを見ていました。すぐにSさんのところに戻り、原稿用紙を見ると、私が指摘したところは直してありましたが、数行下のそれと同じ間違いは手付かずでした。それを指さし、「こういうのがいくつもあるはずだから、最初から最後まで全部読み直しなさい」と言い、今度はその場を離れませんでした。Sさんは渋々読み直しました。

今度は最後まで読みましたが、一緒に目を動かした私が見つけた間違いはすべてスルーして、“読み終わったからもういいでしょ”と言わんばかりの目つきで私を見上げました。こことこことここが間違っていると言われたSさんは、直し始めました。

そんなやり取りをしている間に、Dさんがスマホを見始めていました。Rさんもいつの間にかスマホをいじっていました。振り返ればMさんも。学生にとって、作文の時間は1秒でも早く書き上げてスマホを楽しむ時間に過ぎないのでしょう。そうして提出された作文に間違いが1つもなければまだしも、誤字脱字ねじれ文、何でもありなんですから、添削する側はたまったものではありません。

私なんか、1日全くスマホを見なくても平気なんですがねえ。

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