11月27日(水)
先週の作文の採点をしました。中級クラスですから、習ったばかりの表現を使おうとして失敗したり、主張の訴え方が弱かったり、それどころか最初と最後で主張が変わってしまったりなど、未熟な点が目立ちました。その程度は計算済みですから、驚きはしません。そんな中で、Lさんの作文が目を引きました。漢字の誤字と末表現の抜けが各1か所あっただけで、文章としてはほぼ完璧でした。
しかし、作文を書く前にクラス全体に示した論理展開の見本をまるっきり無視していました。こういう構成を身に付けてもらいたいと思って、どういう意見であってもこれに従うよう指示したのですが、それには全くお構いなしでした。他の学生は多少なりともモニターに映し出された構成を参考にして書いていたのに、Lさんだけ“我が道を行く”でした。
それだけではありません。語彙レベルがやたら高いのです。「日々の生活」「住居を確保する」「経済発展を目指す」「雇用創出」「生活水準が向上する」「環境保護に重点を置く」「貧困を脱却する」など、私が普段見ているLさんなら絶対に使わない(使えない)単語が続々と書かれていました。
作文の時間に参考にしてもいいのは、教科書と自分のノートだけです。スマホをはじめ、電子機器は使用禁止です。しかし、Lさんの作文の内容を見るに、AIの影を感じずにはいられません。そういえば、Lさんは机に突っ伏すようにして書いていました。スマホを隠すためだったのかもしれません。
Lさんは2校の大学に合格して、余裕綽々である反面、学習意欲が低下しているところもいられます。作文なんて言う面倒くさいことになど、まじめに取り組む気がしなくなったのでしょうか。いずれにせよ、今週の作文の時間に事情聴取です。
日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ