1月21日(木)
超級クラス、しかも卒業式を迎えるこの学期ともなると、教えることがなくなってきます。特に読解は、外国人向けの日本語教材では全然追いつきませんから、新聞・雑誌の記事や小説や論説文やエッセイや日本人高校生向け問題集など、あらゆる方面に手を回して教材を集めています。
そういったものから教材を採ったとしても、字面を追うだけなら学生たちは自習できちゃいますから、字面だけからはわからない何がしかを付け加えています。例えば、今扱っている教材には関西弁がふんだんに出てきますから、関西弁を共通語に訳してみたり、その訳語と関西弁のニュアンスの違いを議論したりしています。
小説なら、文中に表れたちょっとした言葉から登場人物の心理を推理してみるなんてこともしています。行間を読むというか、1つの単語から想像を広げるすべを身に付けてほしいと思っています。また、日本人なら暗黙の了解で済むことも、学生たちはきっちり説明してもらわないとわからないこともあります。辞書やネットではつかめない何物かを与えていくことが、このレベルの学生たちに対する我々教師の役割だと思っています。
このクラスの学生の大半は、4月から進学先で日本人に囲まれて勉強していきます。授業では留学生だからと手加減や特別扱いされることはないでしょう。日本語にじっくり向き合えるのは、日本語学校の卒業式までですから、こちらもその間に日本人に「伍して」いけるだけの、日本語力プラスアルファをつけさせようと思うのです。日本語力はもう十分ですから、「プラスアルファ」の部分に力点を置いて、卒業直前の授業を組み立てています。
私から皆さんへの遺言だよって言って、授業をしています。