9月20日(金)
授業後、Sさんが先週のテストの再試を受けました。先週は残念ながら合格点には届きませんでしたから、もう一度よく勉強して再挑戦したというわけです。
このテストには、友達同士の会話のスクリプトを作るという問題がありました。この問題には、勉強した表現や語彙を使うことはもちろん、“友達同士の会話”らしい文末表現で答えてもらおうという出題意図がありました。授業でも練習したのですが、この問題で点が取れたか取れなかったかで、成績に大差がつきました。
この問題をほぼノーミスで答えられたJさんは、満点に近い成績で、クラスで一番でした。しかし、Jさんは例外で、多くの学生がこの問題で沈みました。配点が大きかったこともあり、少なからぬ学生がこの問題で失点を重ねたせいで不合格になりました。Sさんもその1人でした。
Sさんの答案は、先週よりはいい点でしたが、合格点にはわずかに届きませんでした。先週と同じく、会話のスクリプトを作る問題ができませんでした。Sさんはまじめな学生ですから、教科書に載っている事柄は確実に覚えます。しかし、会話の文末表現は今学期だけでなく、先学期も先々学期も、会話の時間に練習しているのですが、教科書に出ているわけではありませんから、Sさんはスルーしてしまったのでしょう。
そして、Sさんがテストの答えとして書いた会話スクリプトは、Sさんのしゃべり方そのものなのです。まるでSさんが答案用紙に乗り移って私に話しかけてきたかのようでした。今は、ろくな会話をしなくても生活できてしまいます。ですから、Sさんのように非常にぎこちない会話しかできなくても生活に不便を覚えないのです。
Sさん、あなたは努力を惜しまない学生ですから、進級させてあげたいです。でも、その努力の方向を考え直さないと、ごく近い将来、身動きが取れなくなってしまいますよ。
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