1月13日(水)
早朝、一人で仕事をしていると、Kさんが外から窓をたたきました。まだ暗いうちでしたが、志望理由書をチェックしてもらいに来たのです。急いで玄関のドアの鍵を開け、Kさんを招き入れました。そして、Kさんの書いてきたS大学の志望理由書を見ました。ややインパクトに書けるところはありますが、日本語としての間違いの少ないよくできた文章でした。
そういう感想を述べ、どんなことを付け加えればいいかを指摘しました。ところが、今思うと、Kさんの本題はここから先でした。S大学を始め、いくつかの大学に出願しようとしていますが、Kさんの最大の悩みはプレッシャーに弱いということでした。EJUの前などでも、体の震えが止まらないほどの緊張感を味わうそうです。今も、午前中の授業が終わるとすぐ帰宅して、夜の8時ごろまで寝て、それから夜を徹して朝まで勉強するそうです。だから、暗いうちから学校へ来られるのです。
確かに、KさんのEJUの成績は、周りの教師たちが感じるKさんの実力よりだいぶ低いものでした。緊張しやすい性質を矯正するのはなかなか難しいです。自信を持たせようとしても、実際の試験のことを思うと、こちらの小細工など消し飛んでしまうのです。私にできることは、Kさんの話をじっくり聞くことぐらいです。だから、1時間あまりKさんの話に耳を傾けました。
取り留めのない話と言ってしまえば身も蓋もありませんが、Kさんにとっては多少はカタルシスになったようです。朝ごはん(Kさんにとっては晩ごはん???)を取りに出たところを見かけた出勤途上のR先生は、ずいぶんすっきりした顔をしていたとおっしゃっていました。
プレッシャーに弱かろうとどうしようと、受験は容赦なく迫ってきます。それまでKさんを支え続けねば…。