6月26日(水)
「日本一の農業県はどこか」(山口亮子、新潮新書)を読みました。農業の見方が変わりました。
田植えが終わったばかりの水田、夏の強い日差しを浴びて勢い良く成長している稲、たわわに実って頭を垂れている稲穂、稲刈りが終わった後の稲架、私にとってはどれも心を和ませてくれる風景です。棚田はいつまで見ていても見飽きることがありません。しかし、この本によれば、米作こそ日本の農業の活力を低下せしめている元凶なのだそうです。もう少し正確に言うと、米作を支えている補助金が最大の戦犯なのです。
また、カロリーベースの食料自給率が低いことが日本の農業の最大の問題点のように言われていますが、この指標は日本ならではのガラパゴス指標だそうです。カロリーベースのため、野菜はカロリーが低いですから、いくら作ってもこの自給率の上昇にほとんど寄与できません。一方、米などはカロリーが高いので、米を大量に生産すれば数値はあっという間に改善します。しかし、現在、日本人は米を食べなくなりました。ですから、カロリーベースの食料自給率は、日本の農業の姿を正しく反映した指標だとは言えません。
日本の農政は、そんな指標に基づいて進められています。その結果、やる気のある農家の頭を押さえつけてしまう政策も実施されています。それにも負けず、工夫を重ねて農業経営を行っている農家が多い県こそ、日本一の農業県だと、筆者は訴えています。具体的にどこが日本一の農業県かは、この本をお読みになってお確かめください。これ以上はネタバレになりますから、書きません。
日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ