5月16日(木)
やはり、キダタローさんが亡くなったことに触れなければならないでしょう。私はもちろんお会いしたことはありませんが、探偵ナイトスクープで深く印象付けられました。
昨年新たに入局した桂二葉に対して、きれいな大阪弁を使っていると評していました。私も、アクセントに乱れがなく、「してはる」という敬語を過不足なく使っていることなどから、聞いていて気持ちがいいなと思っていました。キダタローさんも同じように感じていたのかと、自分の耳に自信を持ちました。
このほかにも、「浪花のモーツァルト」と呼ばれていたり、かに道楽やアホの坂田の作曲をしたりと、常に大阪を愛し、大阪に軸足を置いた活動を続けていました。その活動は、芸能人というよりは文化人というべき幅広さでした。大きく言えば、近松門左衛門からの系譜を継ぐ人でした。
私は東京生まれで東京育ちと言ってもよい人間ですが、そういうキダタローさんが好きでしたし、だから注目もしてきました。そんな方が亡くなり、寂しい限りです。キダタローさんの後が継げる人って誰でしょう。すぐには思い浮かびません。こう考えると、実に偉大な人物を失ったものです。
キダタローさんの死因は報じられていませんが、93歳という年齢からすると、老衰に近かったのでしょうか。でも、老衰というのは、生前のキダタローさんのエネルギッシュさからほど遠い気もします。いずれにしても、今頃は空の上で探偵ナイトスクープ初代局長の上岡龍太郎さんと旧交を温め合っていることでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。
日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ