1月5日(火)
Cさんは昨年中にM大学に合格し、1月から3月は日本を旅行したり一時帰国したりしようと思っていました。そこでまず考えたことは、退学して日本にい続けようということです。授業料も払わなくていいし、自由な時間も好きなだけ確保できるし、Cさんにとっては最高の方法です。確かにCさんのビザはM大学への入学まで日本に滞在できるものですが、それはKCPに通うという前提ですから、学校にも通わずに日本で遊んでいるなどということは許されません。そんなことをしたら除籍処分となり、除籍されたらM大学に通うビザは絶望的です。
次に考えたことは、授業料を払って登録して、KCPでの学籍を確保した上で旅行に行くという手です。これもまた実質的に学校に通わないのですから、認められるものではありません。百歩譲って認めたとしても、CさんはM大学に入るために出席率上多大な犠牲を払っており、すなわち先学期は欠席しまくっているため、1月期もろくに出席しないとなると、ビザが危うくなります。
その次は、退学していったん完全に帰国するというものです。ビザの上ではKCPと縁が切れますから、出席率が下がることも除籍されることも心配しなくていいです。しかし、M大学進学のためのビザを取り直すことは、そう簡単なことではありません。CさんはM大学や入管に確認や問い合わせをしましたが、Cさんが安心できる回答は得られませんでした。
迷いに迷ったCさんは、国のご両親に電話をかけ、どうしたらいいか相談しました。ご両親からは、「お前のしたいようにすればいい」と言われ、Cさんは頭を抱えてしまいました。
これが昨日から今日にかけてのCさんの思考遍歴です。担任の私を始め、H先生、T先生、事務のLさん、Sさん、Nさんなど、各方面の教職員に相談を持ちかけ、何とか自分の思い通りの答えを引き出そうとしました。学校関係者は、もちろん、「自由に日本中を旅行してもいいですよ」なんて言うわけがありません。誰に聞いても完全帰国か卒業式まできちんと学校に通うかの二択を迫りました。
日もとっぷり暮れた頃、M大学に進学して勉強していくには、KCPをきちんと卒業することが最善の道だと悟って、ようやく1月期の登録をしました。「登録する限りはきちんと出席しないとCさん自身が痛い目に遭うんだからね」と5本ぐらい釘を刺しておきました。
方針を決めたCさんはすっきりした顔をして帰っていきましたから、ちょうど1週間後に始まる新学期に期待することにしましょう。