3月1日(金)
今週は立て続けに2件、少子化の進行を示す統計が発表されました。1つは、昨年の日本の出生数が一昨年比5%減の75万人余りだったという厚生労働省の発表です。もう1つは、韓国の昨年の出生率が一昨年より0.06下がって0.72だったという韓国統計庁の発表です。両国とも少子化の進行が問題になっていましたが、さらに深刻化したというデータが示されました。
これを基に、上級クラスでどんな施策があれば子供を産み育てようという気になるかという話し合いをしました。学生たちはこれから子供を持つ(かもしれない)世代です。そして、クラスの大半が少子化に悩む国から来ています。そういう学生たちがどんな反応を示すか、アイデアを出すかに興味がありました。
「避妊薬などに高額の税金を掛ければいい」などという暴論は出てきたものの、残念ながら、膝を叩くような案は出てきませんでした。つまり、各国の施策は若者の心を子育てに向ける力はなく、かといって若者を子育てに向けされる妙案もないということです。さらに言えば、現代社会は若者が子育てに励むには不向きな構造になっているのです。だとすると、日本も韓国も他の国々も、少子化の進行は止められず、社会を支える層が薄くなることによる国家の崩壊は防ぎようがないということになります。
ほんの20分か30分の議論で素晴らしい政策が思い浮かんだら、どこの国も少子化に頭を抱えることはないでしょう。でも、学生たちが、どんな条件が整えば子供を産む育てる気になるか全然見当がつかないというのは、見過ごすことはできません。この状況を打破するには、コペルニクス的発想の転換が必要なようです。
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