通訳とは

12月6日(水)

今学期、水曜日の午後は初級の学生を対象に、進学の授業をしてきました。進学の授業とは、日本語やEJUの科目を教えるのではなく、日本の大学入試・大学進学の基礎知識を学んでもらう授業です。例えば、出願に必要な書類、EJUのしくみ、面接の内容、志望理由の書き方、合格後の入学手続きといった事柄を扱ってきました。毎週聞いてもらえれば、留学生入試の概略がわかってきます。

初級の学生が相手ですから、通訳が必要です。その通訳は、上級の学生に頼んでいます。Kさん、Sさん、Tさんなどが引き受けてくれました。私の日本語よりもだいぶ長く話していますから、きっと自分の経験も加えて、私の言葉をより実感の伴う話にしてくれているのでしょう。こういう通訳は、機械翻訳やAIにはできないと思います。

聞いている初級の学生たちも、通訳の学生の言葉を待ち構えています。学期末が近づいた今なら、初級とはいえ、私の言葉もだいぶわかるようになってきたと思います。こちらも語彙や文法を調節して、また板書やジェスチャーも交えて、少しでも初級の学生に伝わるようにしているつもりです。でも、通訳の学生が話す自分たちの母語のほうが、理解が深まるに違いありません。だから、信頼しきった眼で通訳の学生を見つめ、その声に耳を傾けるのです。

通訳の学生も、どこかいい気分なのでしょうね。1時間近く拘束されるのですが、授業が終わり、私が「どうもありがとう」と声をかけると、満足気に笑みをたたえて、「ありがとうございました。先生、さようなら」と返してくれます。この授業の時は、初級の学生も上級の学生も私も、効率性とは違った次元に生きているのです。

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