イトウマイ

10月30日(月)

月曜日は2週連続して代講に入ってもらいましたから、10月最終週にしてやっと初授業です。しかし、水曜日にも教えているクラスですから、学生の顔と名前がわからないということはありません。

先学期に引き続きニュースの小見出しをやると、包囲網、公取委、一等米などという言葉が壊滅状態でした。上級とはいえ、ちょっと聞き慣れない言葉となると、意味の想像もできなくなってしまうようです。公取委は漢字を示してもぽかんとしていました。経済経営系の大学院進学志望の学生には反応してほしかったのですが、そんな学生も含めてみんなスマホで調べ始めるというありさまでした。

一等米がきちんと書けたPさんは、クラスで唯一、その文の聞き取りが完璧でした。他の学生のノートをのぞき込むと、「イトウマイ」とか「いっと毎」とか、思い思いの表現で自分の聴き取った言葉を書いていました。学生にとって「米」の字は、米国、欧米などの「ベイ」ではあっても「マイ」ではないのです。米の話だとわからなければ、その小見出しについては皆目見当が付かないでしょう。

逆にほとんどの学生ができたのが、日本のGDPがドイツに抜かれる見通しだという小見出しです。こちらは、円安とか下回るとか聞き覚えのある言葉ばかりですから、それを組み合わせればそれっぽい文ができます。つまり、ニュースを聞き取るには理解語彙を増やさなければならないという、聴解の基礎法則が実地に確認できたということです。

こういう積み重ねをするつもりで始めたニュースの小見出しですから、今後も地味に地道にやっていきます。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です