8月5日(土)
昨日は午後からも授業があり、なおかつ夕方歯医者の予約を入れていたので早帰りしたため、午前中の中級クラスの授業で集めた文法の例文を添削する時間がありませんでした。というわけで、朝一番の仕事は来週の行事の準備でしたが、それに続いてその例文添削をしました。
中級クラスともなると、手の施しようのない例文はだいぶ少なくなりますが、その代わり、一刀両断にダメと決めつけられない、ストライクゾーンにボールの縫い目が引っ掛かるかどうかというような例文が現れてきます。クラスの中ではできのいい学生Cさんが書いた例文は、「私は一生懸命勉強して、得がたい知識を積んだ」というものでした。
昨日このクラスは、「信じがたい」とか「理解しがたい」とかの「~がたい」を勉強しました。「得がたい経験」も扱いましたから、その応用として「得がたい知識」としたのでしょう。「知識を積んだ」はちょっとおいといて、この「得がたい知識」、この稿をお読みのみなさんはどうお感じになりますか。
私は、「一生懸命勉強」したぐらいで手に入る知識なら、それは「得がたい知識」ではないと思います。特別な人に会って、その人から授かった知識なら、「得がたい知識」と言ってもいいかもしれません。でも、その特別な人って誰だろう、授かった知識ってどんな知識だろう…などと考えると、「得がたい知識」の輪郭はぼやける一方です。特別な人に会うことも含めて、得がたい経験を通して得た知識なら、かろうじて「得がたい知識」のような気がします。
結局、Cさんの例文は〇にはしないで、上述の内容をギュッとまとめたコメントを付けました。Cさんにとって、私のコメントは得がたい何かになるのかなと思いながら、他の例文を見ていきました。
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