3月4日(土)
この頃どうもAさんの様子がおかしいので、担任のB先生と一緒に話を聞くことにしました。Aさんは逃げも隠れもせずに指定した時刻に指定した場所まで来ましたが、Cさんを伴っていました。Cさんに通訳を頼んだと言います。Aさんだって上級の学生です。でも、自分の日本語に自信が持てず、自分よりもさらに上のクラスのCさんを通訳としてついてきてもらったのです。
生活状況の話も聞くつもりをしていましたから、プライバシーにかかわることも質問するがそれでもいいかと聞いたら、それも計算済みだと言います。こういう場合には事務職員が通訳を務めるのが常ですが、運悪く通訳ができる職員は仕事で外出していました。まさか上級の学生が通訳を必要とするとは思わず、約束をしていませんでしたからしかたありません。
Aさんとの話の内容をここに記すわけにはいきませんが、Cさんの通訳は素晴らしかったです。Aさんの言わんとしている微妙なニュアンスもくみ取って訳してくれました。初級の学生にこちらの考えを伝えてもらうことはありましたが、学生の思いの丈を日本語にしてもらうという通訳をしてもらったのは初めてでした。Aさんも、Cさんが私たちに話す日本語を聞いて満足そうでしたから、きっと的を射た通訳だったのでしょう。
Cさんは、EJUなどの試験の点数が非常に高いわけではありません。しかし、Aさんの言わんとしたことをきちんと日本語にできたという点においては、高度な日本語力というか、相手の気持ちに寄り添うコミュニケーション力を有しているのです。こういう学生がKCPで育ったということがうれしかったです。なにせ、Cさんはおととしの春、レベル1のオンライン授業で私が教えた学生ですから、ちょっと鼻が高くなりました。
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