3月1日(水)
Bさんは来年の進学を目指しています。もう1年KCPで勉強するにあたって、どのようにして日本語力を伸ばし、進学につなげていくかについて面談しました。
得意科目を聞くと、漢字、文法、読解といいます。苦手なのが、会話、聴解、作文です。会話は、学校外で日本人と話すとき、どんな単語や文法を使ったらいいかわからなくなるから苦手なのだそうです。作文もほぼ同様です。さらに突っ込んで聞くと、上級らしく難しい単語や文法を使おうとするけれども自信が持てないのだそうです。上級になり切れていない学生が背伸びしようとすると、このようになりがちです。
日本人だって、日常会話でN1やN2の文法を使いまくっているかというと、全くそんなことはありません。みんなの日本語レベルの文法を上手に組み合わせているにすぎません。これが本能的にできるところが母語話者なのですが、Bさんが想像しているほどの難しい文法など使っていません。私も、この稿では意識してN1の文法を使いますが、話しているときは、教師相手でも「みんなの日本語」ですね。
入試の面接にしても、状況は変わらないでしょう。無理して小難しい文法を使って失敗するよりは、初級文法を正確に使いこなす方が、評価は高いに違いありません。面接練習でも、そういう指導をしています。
そんなことをBさんに伝えましたが、これで問題が解決するくらいだったら、Bさんはこんな悩みを打ち明けることもないでしょう。口を開くチャンスがつかめないんでしょうね。こんなふうに一対一で話を聞く機会を提供していくことが、Bさんの会話力を伸ばすほぼ唯一の道だと思います。
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