2月9日(木)
Mさんは今学期から理科系の受験講座を受けています。しかし、最近休みがちです。そんなMさんを、授業後に呼び出して、事情を聴きました。
一言でまとめてしまうと、受験講座の内容が難しいということでした。Mさんは国の高校で理科系の勉強をしてきましたが、受験講座では国で習ったことのない内容を扱っているので、ついていけないと言っていました。
数学のS先生に聞いてみると、国によって教育課程に違いがあるのに加えて、学校によっても、同じ学校でもクラスによって、どこまで教えるかばらつきがあるそうです。理科系の場合、日本で言う数Ⅲまでがっちり勉強してきた学生から、数Ⅱ・Bをお義理で勉強したにとどまる学生まで、かなり幅広く分布しているとおっしゃっていました。Mさんは日本の数Ⅰ・Aよりも多少深く勉強しただけなのではないかという見立てでした。
日本には、私が受験生だった頃よりも前から、“文転”という言葉があります。理科系進学を目指していたけれども、数学が伸びずに文科系へと進路変更する例は、今も昔も少なくないようです。学部学科の設定も受験方式も多様化したとはいえ、文科系と理科系の間の壁は、厳然と存在しています。留学生入試では、日本人の入試に比べて、その壁がいくらか厚く高いような気がします。Mさんの国ではどうなのでしょう。
Mさんが目指している分野は、確かに理科系の範疇ですが、がりがりの理科系ではありません。理科系と文科系の境界が壁ではなくグラデーションになっていたら、Mさんはゆとりのある留学ができるに違いありません。日本の大学がそこまで変わるには、まだまだ時間がかかりそうです。
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