1月30日(月)
Pさんがまたスマホを見ています。読解問題のプリントを配ると、普通の学生はわからない単語を調べるためにスマホを取り出します。スマホに頼りっきりでテキストを読むのはあまりほめられたことではありませんが、それでもまだ理解の範囲内です。しかし、Pさんはプリントそっちのけでスマホに集中します。スマホ依存症と言って差し支えないでしょう。
Pさんは漢字の読み書きが極端に弱いです。上級の読解となると、漢字で書かれた単語がわからなかったら、手も足も出ません。単語を調べると言っても、ほとんどすべての漢字の言葉を調べなければなりませんから、いくらスマホの使い方に習熟していると言っても、それにかかる時間は半端じゃありません。だから、最初からあきらめてしまっているのです。
じゃあ、そんなPさんはどうして上級クラスにいるのでしょう。ひとえに、聴解力と話す力のおかげです。日本語を聞いて理解する力は他の学生よりも強いですから、教師の話を理解するのはクラスメートよりも速いです。理解したことや自分の意見を話す力も標準以上ですから、一見するとできる学生なのです。読んで書くテストは下手をすると初級以下かもしれませんが、理解力はどう考えても上級です。
現に、読解試験のない大学に合格しています。その大学の合否判定基準がどうなっているかわかりませんが、面接時の受け答えが高く評価されたに違いありません。最近KCPから進学者がいなかった大学に入ってくれたことはうれしいですが、入ってからどうなるか非常に心配です。
Pさんみたいな学習者は、日本語スタンダードのどこのレベルに入れればいいんでしょうかね。
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