1月11日(水)
Cさんは今学期から受験講座を受ける学生です。どの講座を取るか決めてもらうため、授業後に説明をしました。
「Cさんは大学で何を勉強しようと思っていますか」。これは文系か理系か確認する質問であると同時に、日本語力チェックもしています。これがわからないようだと、受験講座についていくのは厳しいかもしれません。Cさんは難なく「文学か経済を勉強しようと思っています」と答えました。
「文学か経済…。ずいぶん離れていますねえ。文科系の人は、総合科目は絶対取ってください」「はい、わかりました。経済を勉強するときに数学が必要ですが、受験講座の数学は何を勉強しますか」と聞かれたので、EJUの数学コース1の範囲である数学Ⅰと数学Aの教科書を見せました。2次関数のあたりでCさんの顔が青ざめてきました。志望校を聞くと、A大学、M大学、N大学の名が挙がりました。いずれも国立大学ではありませんから、少なくとも文学部ならEJUの数学が要求されることはないでしょう。
Cさんは自分が置かれている状況もよく理解しているし、きちんと理解できるまで質問も繰り返すし、話の内容も筋が通っているし、このまま順調に伸びてくれれば上述の志望校も夢ではありません。何より、こちらの言ったことをきちんと聞き取っているところが心強いです。でも、数学をあきらめてしまったのは、理系人間としては寂しいですね。
数学は、図形の問題が解けたり順列組み合わせの計算ができたりするのが到達目標ではありません。図形の問題や順列組み合わせの計算に使う論理性こそ、その根本です。それは、文学の研究にも必要とされます。
数学嫌いを生まない教育をしている国って、あるのでしょうか。
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