1月5日(木)
早速面接練習がありました。相手は、今度の日曜日がS大学の入試本番というHさん。クラスで教えたことのある学生ですが、約束の時間の10分前に来て職員室で面接の想定問答の最終チェックをしている背中は、今までになく緊張の色がにじみ出ていました。
「Hさんですね。あなたはなぜ本学で勉強したいのですか」と質問すると、Hさんは一語たりとも言い漏らすまいと答えます。しかし、その気持ちが強すぎて早口になってしまい、しかもマスク越しですから、聞き取りにくくなってしまいました。これでは逆効果です。Hさんの話し言葉を聞き慣れている私ですらわからない部分がありましたから、S大学の面接官にはHさんの熱い思いが伝わらないでしょう。
その後、S大学で何を勉強したいか、卒業後どうするつもりかなど、面接の常道ともいえる質問をしました。それなりには答えていましたが、“それなり”止まりでした。Hさんの狙っている学部学科はS大学の中でも難関ですから、このままでは入れません。フィードバックを兼ねて、S大学のページを見ながら答えのポイントを説明しました。S大学卒業後は帰国して故郷の街の発展に貢献したいというHさんの将来計画を、より輝かしいものに聞こえる工夫を伝授しました。
Hさんは、自分をよく見せるということに関しては不器用な学生です。思いも人間性も能力もあるのに、それを伝える点において要領が悪いのです。ここを補って学生を志望校に入れるのが教師の役割です。この学期は、多くの“Hさん”の面倒を見ていくことになります。
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