せつない(?)恋心

12月19日(月)

Jさんはアメリカから来たレベル1の学生です。

「クリスマスは国へ帰りますか」「いいえ、帰りません」

「じゃ、クリスマスは寂しいですね。1人でメリークリスマスですか」「いいえ、彼女と一緒です」

「あ、いいですねえ。楽しいクリスマスですね」「はい」

と、笑顔を見せました。

Jさんの彼女もレベル1で、英語が話せないそうです。「Jさんも彼女も日本語を話しますか」と聞くと「はい」という答えが返ってきました。2人の共通言語は日本語ですから、そうなっても不思議はありません。

でも、今は多種多様な、私など想像もつかないようなアプリが出回っていますから、そういうのをフル活用して意思疎通を図っているのかもしれません。Jさんがスマホに英語で気持ちを打ち込むと、それを彼女の国の言葉に翻訳して、メールか何かで送り、それを読んだ彼女がその逆をしてJさんに思いを伝える――というようなやり取りを繰り返すのでしょうか。残念ながら、Jさんの日本語力ではどんな“会話”を交わしているのかわかりませんでした。

上級クラスの語彙の授業で“せつない”を扱いました。辞書の説明をそのまま伝えても、例文を考えて状況や心情を想像させても、“せつない”の根幹をなす部分を伝えるのは難しいです。Jさんたちはどうなのでしょう。自分の言葉で愛を語っても通じないことにもどかしさやせつなさを感じているのでしょうか。見つめあうだけで心が満たされるのでしょうか。それともアプリか何かを介した語らいで幸せを感じているのでしょうか。

いずれにしても、2人で楽しく幸せなクリスマスが過ごせるよう祈るばかりです。

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