キタチョー線

11月4日(金)

「北朝鮮、ICBM発射か。宮城、山形、新潟の3県にJアラート発出」

金曜日のクラスでは、最近のニュースを新聞の見出し風にまとめて、ディクテーションにしています。これは昨日のニュースですから、少なくとも前半部分は学生たちにとって楽勝だろうと思って読み上げました。予想通り後半の県名や、聞きなれないJアラートなる単語には苦労したようです。

このほかにもう2本読み上げて、ざっと見てできていそうな学生にホワイトボードに答えを書かせました。指名された学生が書いている間、私は教室の一番後ろに立っていました。たまたま私が立ったそばの席だったTさんとCさんが、小さな声で私に聞きました。「先生、“キタチョーセン”って東京ですか、大阪ですか。どこのJRですか」。

どうやら、この2人は北朝鮮を、山手線や丸ノ内線と同類の“キタチョー線”という鉄道線だと思ったようです。ICBMは、“あいしびえむ”とかという駅だと思い、だから、発射は、“キタチョー線”の電車が発車したと受け取ったのです。Jアラートも、JRと聞き取ったので、「どこのJRですか」と私に聞いたに違いありません。

確かに、Tさん、Cさんの国では北朝鮮を“キタチョーセン”とは呼びません。でも、日本では“キタチョーセン”という音は“北朝鮮”以外の何物でもなく、“キタチョー線”だと思う人など、落語の八つぁん、熊さんしかいないでしょう。日本へ来たばかりならまだしも、2人はもう1年以上も日本にいます。学校以外で日本語に接していないんだなあと思いました。

確かめませんでしたけど、“キタチョー線”だと思った学生が2人のほかにもいたかもしれません。こんな調子で、このクラスの学生、来年4月に進学できるのでしょうか。

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