捨てる

11月7日(土)

Pさんは明日のEJUで350点を狙っています。Pさんの実力なら不可能な成績ではありません。でも、Pさんは不安でたまらず、EJU対策講座に出てきた顔は、心なしか白く見えました。もう、この期に及んで勉強によって点数を引き上げることは不可能です。だから、Pさんの不安を少しでも和らげられるように、ちょっとした秘策を授けました。

それは、「捨てる」ことです。最近のEJU日本語は、最高点が370点前後です。350点を狙うPさんは、ノーミスである必要はありません。うまくすると、ミス3つぐらいまでなら350点を超えられます。そうなんです。3つ間違えられます。わからない問題は捨てられるのです。何が何でも解かなければならないってわけじゃありません。もちろん、全部で52問ぐらいの中で、捨てられるのはせいぜい3問ですから、多くはありません。でも、切り札を手にしていることは確かです。この切り札を上手に使えば、志望校をたぐり寄せることができます。

こんなふうに、“ここまでなら失敗できる”って考えるようになったのは、研究の仕事をしていた時です。目標収率90%という数字はかなり高く思えたのですが、10%もロスできると考え直したら、すぐにも手が届きそうな目標に見えてきたのです。実際には、90%は結構歯ごたえがあったんですけどね。

日本語教育能力検定試験だって、私が受験した頃は合格率が5~6人に1人でしたが、とりあえず自分の周りの4人か5人に勝てばいいと思い、その4人か5人を探してるうちに、受かってしまいました。

明日の本番に関しては、もう私には祈ることしかできません。帰り際に見せてくれたPさんの笑顔を信じましょう。

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