答えられない

11月4日(水)

今週末に入試を控えるSさんの面接練習をしました。準備してきた質問に対してはすらすら答えられるものの、想定外の質問にはしどろもどろになるという、中級あたりの学生によくあるパターンでした。

大学と学部の志望理由、卒業後の計画はきちんと答えられます。しかし、将来やりたい仕事をするために大学で何を勉強しなければならないかという質問に対しては、何かしゃべっているものの、それが答えになっていません。それじゃダメだと指摘しても、ビジネスに必要な知識などという抽象論の域を出ない答えしか返ってきません。

要するに、その大学への憧れがきちんとした形にまで成熟しておらず、漠然とした精神論に留まっているのです。これでは合格が覚束ないので、Sさんに考えてもらおうと、考える上での補助線を引いてやるのですが、Sさんにはその補助線が見えていません。Sさんは「先生ならどう答えますか」と、私に模範解答を求めます。もちろん、私の頭の中にはSさんの考えを忖度した答えがあります。でも、それを教えてしまっては、Sさんはそれを暗記するだけでしょう。そして、暗記すると、本番で緊張したら忘れるものです。忘れた時、頭が真っ白になるっていうのが、暗記の特徴です。

受験日までもうちょっと時間がありますから、現時点ではコテンパンにやっつけて、立ち直るのに必要な支柱を立ててあげたところまでにしておきました。支柱を力に立ち上がるかどうかはSさん次第です。ここで立ち上がれないようだったら、頭の中がまだ大学入試のモードになっていない、自分の将来に本気で向き合っていないのです。冷たい言い方ですが、大学に入るにはまだ早いっていうことです。そんないい加減な考えで大学に受かったところで、進学後いい勉強ができるはずがありません。1年か2年で大学をやめることになったら、時間とお金の無駄遣いですから、むしろ落ちたほうがいいです。さて、Sさんはどうするでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です