水増し同然

8月31日(水)

岸田首相が、留学生30万人計画を拡大する方向で見直す方針を打ち出しました。“鎖国”直前は31万人ほどにまでなりましたが、現在は24万人程度に減っています。これをもう一度30万人に戻し、さらに上積みしようという考えです。

日本語学校は、日本の高等教育機関で学ぼうという意志のある方々をお預かりし、日本語力を付けさせ、大学院や大学、専門学校などに送り出すという役割を担っています。だから、国が留学生を増やすために汗をかいてくれるのは、本来ありがたいことです。しかし、留学生の実態を知っていると、このまま人数ばかり増やしていいものかと思う気持ちも抑えられません。

Cさんは数学がよくできます。でも、Cさんの宿題を見ると、問題に対して答えしか書いてありません。答えの導出過程は全く書かれていません。数学の答案を書くことは、論理思考の訓練です。それができないとなると、進学してから伸びないのではないかと思います。そういう学生が、Cさんだけではないのです。

この稿でたびたび書いていますが、EJUの問題は、高等教育機関の入試としては、非力です。“対策”でどうにかなってしまう部分が大きすぎます。こういう試験で高得点を取った受験生がそのまま大学に進学すると思うと、大学の教育の質に影響が及ぶのではないかと心配です。

ガリガリ1人で勉強して、マークシートの選択式問題は得意だけれども、筆答式となるとたじたじで、口頭コミュニケーション力ン不安のある留学生が増えるのではないかと危惧しています。大学院入試にも“対策”があったり、専攻そっちのけで志望校を選んだりしているのを見ていると、大学院や大学において留学生を増やすことが、本当に日本の国力を向上させるのか、若者の教育という形での国際貢献につながるのか、疑問を思います。

二流か三流の学生で30万人とか50万人とか、数字を振り回しても意味がありません。岸田さん、そういうところまで見た上で考えをまとめていますか。

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