正直すぎる

11月2日(月)

Yさんはもうすぐ面接試験を控えています。出願の時に志望理由書でさんざん苦労しましたが、面接の受け答えでも苦労を重ねそうな雰囲気です。

一つには、Yさんは非常に正直だということがあります。「日本と国とで何か違ったことがありますか」という質問に対して、堂々と「何もありません」と答えてしまいます。Yさんが普通に暮らしていく上では、国と日本とで違いは感じないのかもしれません。しかし、それじゃあ話の接ぎ穂がないじゃありませんか。あるいは、感度が低すぎると思われるかもしれません。何か違いがあるからこそ、留学する意義があるのであり、それがなかったら、極端な話、わざわざ留学する必要なんかないだろうってことにもなりかねません。

もう一つは、すぐ自分の世界に入り込んでしまう点です。自分の世界を持っていることは学問をする上で不可欠ですが、不意にその中に入ってしまうと周りはそれについて行けなくなってしまいます。面接でこれをやると、面接官はいいイメージを抱かないでしょう。

Yさんは学力はありますから、日本人のようなペーパーテストだけの入試なら合格する可能性はかなり高いです。しかし、面接試験があるとなると、よほど好意的な面接官でない限り、Yさんのよさに気付いてくれないでしょう。潜在能力が顕在化される以前に、切り捨てられてしまうパターンです。

でも、不思議ですね。面接ってペーパーテストでは計れない受験生の美質を見出すために行われるようになったはずなのに、面接でその美質を表に出す訓練をしていないといい物を持っている受験生が落とされてしまうんですね。入試って、難しいですね。

私にぼろかすに言われたYさんは、明日の休みにもう一度考え直しますと言って帰りました。さて、休み明けにどんな答えを考えてくるでしょう。

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