7月12日(火)
理科系の受験講座は、多くの場合、学生にとっては国の高校で勉強したことの復習です。文系の総合科目は日本の地理歴史政治経済も含みますから初めて聞く話もありますが、理科系は用語が日本語に置き換わるだけで、内容は同じです。日本ではNaClだけど、私の国ではSoClだなどという話は聞いたことがありません。
Jさんは今学期レベル3で、受験講座が受けられるようになりました。初日は、90分にわたって私の化学の授業を聞きました。その前に、S先生の数学も聞いています。授業後、「日本語、難しかった?」と聞いてみたら、「はい。たくさんわかりませんでした。でも、だいたい大丈夫です」と、どうとらえていいのか迷ってしまう答えが返ってきました。
受験講座は、日本語の授業と違って、図表や数式などを見ながら、その意味するところを理解していきます。進出語彙や文法の導入のあとで反復練習、応用練習とかというパターンがありません。講義を通して原子なら原子という物の概念をつかみ、それを応用して理解を深めたり広げたりしていくのです。Jさんの「わかりませんでした」は、“応用して理解を深めたり広げたり”という段階には至らなかったという意味でしょう。「大丈夫です」は、概念はどうにかつかめたと言いたかったのではないでしょうか。その証拠に、ここがポイントだというところは、事前に配っておいたレジュメになにがしか書き込んでいました。
Jさんには、今は苦しいと思いますが、ここであきらめずに食らいついていってほしいです。それが、進学後に役に立つ日本語力になるのです。
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