思い出しました

7月5日(火)

午前中、あるお役所の報告書が回覧されてきました。目を通しておくようにとのことでしたが、そのあまりのページ数に読もうという意欲が失せてしまいました。勇を鼓して読んでみても、同じような図表が何枚も続き、どこがどう違うのか、間違い探しをしているような気分になってきました。

40年近くも昔の話ですが、ある化学会社の新入社員の時、その会社が請け負ったナショナルプロジェクトに携わりました。年度末に報告書を書いてプロジェクトマネージャーに提出したところ、社内の報告書ならこれくらい簡潔に書いてほしいが、ナショプロの報告書は厚さが勝負だから、もっと長くしろと命じられました。枝葉末節だからと切り捨てたデータも載せ、書くまでもない考察も書き、丸々と太らせた報告書を再提出しました。

その後しばらくたってナショプロ全体の報告書が完成し、私の所にも回ってきました。読んでみると、私が太らせた報告書を、マネージャーがさらに手を加え、のばしていました。その見事な手腕に感心させられました。次の年度はその手腕をまねて、長い長い報告書を書き上げました。マネージャーからの書き直し命令はなく、ほぼそのまま報告書に載りました。

私が読んだ報告書も、若手の係官が必死になって枚数を増やしたのでしょう。先輩にダメ出しを食らい、毎晩遅くまでかけて、コピペした図表に微妙に手を加えている姿が思い浮かびます。ブラック職場の面目躍如じゃありませんか。

学生にはそんないかがわしい日本語は教えません。簡にして要を得た文章を書くことこそ、進学してから求められる技術、日本語力なのです。

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