修士でも

6月4日(土)

最近は、就活に忙しくて、大学院生が研究できないそうです。修士課程2年間のうち、かなりの時間を就活に奪われ、研究に打ち込む期間は短くなる一方だということです。さらに、博士課程まで進んでしまうとかえって就職が難しくなるので、学生としてはどうしても修士で就職したいのです。

大学院は、教育機関というよりは研究機関です。研究ができなかったら存在意義がありません。また、進学した学生にとっても、時間とお金の無駄遣いになりかねません。日本の研究力は、こういうところからも低下しているのです。博士が活躍できない日本は低学歴国だと言われていますが、修士の学位すら実質を伴っていないのだとしたら、諸外国に勝てるわけがありません。

私の頃は、みんな、研究の合間にちょこちょこっと面接に行って、いつの間にか就職先を確保していました。インターネットがない時代でしたから、就活の資料と言えば広辞苑くらい分厚い企業資料集しかありませんでした。エントリーシートを書いた記憶はなく、インターンシップもしていません。「そんないい加減な決め方をしたから、そこの会社を辞めて日本語教師なんて仕事をしているんだろう」と言われてしまうかもしれませんが、前の会社でも十二分に楽しませてもらいましたから、就活が退職に影響を及ぼしてはいません。

40年近く前とは、日本を取り巻く環境も修士の位置づけも変わっていますが、だから修士の研究はおろそかでもいいというわけにはいきません。学部の就活だってどこか間違っている気がします。ここを正さない限り、留学生も安心して日本で勉強できないでしょう。そうなると、ますます日本の国際的地位が下がっていきます。

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