10月10日(土)
三陸鉄道が観光客を大幅に減らし、赤字幅が拡大してしまうそうです。原因は多々ありますが、その中で北陸新幹線開業によって、三陸を訪れていた観光客が金沢などに流れてしまったというのが目を引きました。
金沢を始め、北陸各地が観光客を大幅に増やしたというニュースは、新幹線開業直後から何度も目にしています。しかし、この三陸鉄道のような、北陸新幹線開業の負の影響が表に出ることはあまりなかったように思います。考えてみれば、日本は人口が減り始めていますから、がんばってもゼロサムゲームなのです。北陸の観光客が増えれば増えるほど、どこかの観光地が訪問客を減らすのです。北陸へ行く分だけ旅行の回数を増やすなんてできる人は、今の日本の経済状況では天然記念物的存在でしょう。残念ながら、三陸は北陸に観光の魅力の点で負けてしまい、選んでもらえなかったのです。
おそらく、全国各地に北陸との観光客争奪戦に敗れ、経済的ダメージを受けたところがたくさんあると思われます。だから、訪日観光客に目を向けているところも多いのですが、これまたどこでもうまくいっているわけではありません。東海道新幹線沿線など、ごく一部に集中しているのが現状です。
観光に限らず、すべての産業においてゼロサムゲームが展開されています。新しいお店がオープンすれば、既存店のどこかが客を減らします。新しいサービスが始まれば、既存のサービスから客が移り、サービス休止に追い込まれるところが出てきます。観光なら外国から需要を呼び込む目もありますが、その他の産業ではそうはいかない場合のほうが多いです。
日本がこんな調子だと、そういう日本に魅力を感じる留学生も減り、日本語教育業界にも影響が及ぶかもしれません。いつまでもアニメだサブカルだとばかり言っていられません。