縁がなかったのに

12月2日(木)

理科系の世界では、ギリシア文字がよく使われます。α線、β線、γ線は放射線としてつとに有名ですし、α、β、γは数学の公式にもよく出てきます。Δは微小変化を表し、δ+といえば、電気的にわずかにプラスという意味です。εは誘電率の記号で、θは角度、λは波長、ωは1の3乗根、ρは密度、χといえばχ2乗分布、円周率πもギリシア文字です。φは何もないという意味で使われることもあります。今回順番を飛ばされたνは光の振動数です。しかし、オミクロンはお世話になっていませんね。

日本国中がオミクロン株に右往左往しています。日本語学校はその最たるものかもしれません。年末に入国できそうだということで受け入れ準備を始めた矢先に、再度扉が閉ざされてしまいました。第1陣で来日する手はずになっていたYさんの喜びも、ほんの束の間のことでした。気丈に授業を受けていますが、その心中は、推し量るに余りあるものがあります。Kさんがzoomの画面の中で、両手の指を2本ずつ立てて22日に来日だと嬉しそうにしていたのを思い出すと、大いに心が痛みます。

大学や専門学校の方がいらっしゃっても、景気のいい話にはなりません。入管の特例を利用して、本来なら来年3月で卒業の学生が、もう1年KCPで勉強を続けると言い始める例も少なくありません。だから何人ぐらいが実際に卒業するのか、そのうち専門学校に進学しそうな学生が何人かなどということがいまだによく見えません。それゆえ、「いい学生さんがいらっしゃいましたら…」などと言われても、返事のしようがありません。

このように、入国禁止令は本当に困ったことです。しかし、もし、私がこういう仕事をしていなかったら、「岸田さん、よくぞ水際対策を打ってくれた」などと、感心しているかもしれません。苦痛は当事者にしかわからないものです。いろいろなマスコミが入国できないでいる日本留学予定者の苦衷を伝えていますが、関心を持ってもらうには至っていないようです。

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