11月24日(水)
先週の中間テストの作文を、ようやく採点し終わりました。クラスの学生の作文力には最初から差がありましたが、中級の作文の授業を数回経験すると、構成力の差が顕著になってきます。
今回は、去年の自分と現在の自分とを比べるというのが、主たるテーマでした。下位グループは、事実を並べるのに精いっぱいです。ここが違う、あそこが変わったと述べ立てるだけで、総体としての自分自身の変化を述べ立てるに至りません。それに対し、上位グループは、この1年間を象徴する違いを取り上げ、そこから自分がいかに成長したかを導き出しています。
結論を出す、話を締めくくる力の差なのでしょう。具体例を抽象化する力と言ってもいいです。それが、下位グループには感じられず、上位グループの文章にははっきり表れています。下位グループの学生たちにそういう思考力がないとは思いません。授業中には事例を抽象化して発言することもよくあります。文章表現となるとかしこまってしまいますから、普段の思考回路がうまく働かないのかもしれません。
今週末に迫った入試に備えて、毎日のように面接練習をしているCさんにも同じようなことが言えます。改まった話し方を要求されると、とたんに話がわかりにくくなります。結論を先にという鉄則を知ってはいますが、いざとなるとそれが実践できません。
この辺が上級との差なんですね。上級なら事実の羅列で作文を終わりにすることもなければ、面接練習で想定外の質問をされてもそれなりにまとめます。上級に向けて何をすべきかはっきりしています。そこを集中的に突っつくことが、中級教師としての私の仕事です。
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