Doppler効果

11月8日(月)

理科系の大学の口頭試問では、大学で勉強する専門に関連した理科や数学の事柄が聞かれたり、優しい問題を解かせられたりします。もちろん、出題も日本語だし、回答も日本語です。

中級のCさんは、そんな入試がある大学を狙っています。受験講座の後で、その口頭試問の練習をしました。残念ながら、合格には程遠い回答内容でした。正確に言うと、専門知識はしかるべきレベルのものを持っています。しかし、それを日本語で表現できないのです。

“エチレン”という私の言葉に反応して、膝の上に置いた手の指を2本立てて何事か表そうとしています。しかし、Cさんの口から“二重結合”という、有機化学のごく基礎的な用語は発せられませんでした。“ドップラー効果”と聞いても全然わかりませんでした。「“ドップラー”は英語ですか」と聞いてきました。「はい」と答えると、「英語で言ってください」ときました。“Doppler”と英語の発音をすると、「ああ、わかりました」と腑に落ちた様子でした。でも、口頭試問では、日本語の“ドップラー”がわからないと、どうしようもありません。

Cさんは、日本へ来てからも、ずっと国の言葉で理科や数学を勉強してきました。EJUでは目標としていた点数が取れましたが、口頭試問の練習でこのざまですから、先は決して明るくありません。口頭試問がない大学に合格し進学したとしても、こんな程度の専門日本語力では、授業についていけないでしょう。少なくとも、1年生の最初の学期は大いに苦労するに違いありません。

だから、受験講座を受けてほしいのです。中級では、まだ、日本語で物理や化学や数学を勉強するのはかなりの負担です。しかし、それに耐える訓練をしておけば、口頭試問にも進学後の授業にも対応できるようになります。受験講座は、EJUの先を見越した勉強をしているのです。

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