9月3日(金)
スピーチコンテスト2日目。オンラインという条件をうまく生かしてスピーチをした学生が、高い評価を得ました。スピーチは、大きなホールのステージ上に据えられた演台に立って行うものという、私のような古い頭の人間の固定観念を打ち破ってくれました。言ってみれば、所与の環境に順応し、むしろそれを活用する能力に長けているのでしょう。
スピーチの内容も、「こういう状況に負けずに頑張ろう!」などという威勢の良すぎるものではなく、自分の考えを堅実に述べたり、習った文法を駆使して自分の生活を活写したりというように、聞き手の心をとらえるものが多かったです。審査員のみなさんからも、感動したとか考えさせられたとかという感想が寄せられました。
初級のスピーチは、自分の身の回りのことをまとめてスピーチにするものです。そういうレベルの語彙や文法しか勉強していませんから、世界経済の動向をとうとうと語っても、それは自分の言葉ではなく、聞き手に響くこともありません。今回は、その「自分の身の回り」を、種々の機器やテクニックを活用して今までになくリアルに表現していました。また、大ホールでのスピーチではよくつかめない表情も、パソコンの画面上では手に取るようにつかめます。おそらく本人は気付いていないでしょうが、一瞬の目の輝きや表情筋の動きが百万言よりも雄弁に言わんとしていることを語っていました。
ただ、スピーカーはやっぱりクラスの代表なんですよね。初級のみんながこんな表現力を持っているわけではありません。スピーチを聞いた学生は、大いに刺激されてほしいです。これもまた、スピーチコンテストの意義・目的の1つです。
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