5月21日(金)
初級のXさんが、A大学の英語プログラムを受けたいと言い出しました。Xさんは英語で高校の教育を受けてきましたから、大学の講義の英語ぐらい理解できる自信があるようです。でも、だったらどうしてわざわざ日本へ来ちゃったんですかということになります。本人が言うには、日本の文化にも触れたいからだということですが…。
いろいろと聞いていくと、Xさんの友達の影響でした。その人は、去年、T大学に入りました。しかし、入学以来ずっとオンライン授業で、そのオンライン授業がさっぱりわからないそうです。だから、T大学をやめて、A大学の英語プログラムに入り直すと言い始めました。それを聞いたXさんも、日本の大学への進学が心配になり、一緒にA大学へと考え始めたのです。
Xさんはまだ初級ですが、今が伸び盛りです。EJUも受けていない時点で、日本語で勉強するのをあきらめてしまうのは、明らかに早計です。A大学以外にも英語プログラムを設けている大学はありますが、勉強できることは限られています。Xさんの友達がどんな人か知りませんが、1人の友達の話だけで自分の可能性を狭めてしまうような選択は、するべきではありません。
もう1つ。T大学だって、このくらいの力があればウチの大学の授業についていけると踏んで、Xさんの友達を合格させたのでしょう。しかし、1年間のオンライン授業の結果がこれです。去年は教師の側がオンラインに不慣れだったということもあるでしょう。登校できない(させない)留学生へのサポート体制も整っていなかったのでしょう。学生も、行ったこともない大学への愛着はあまり深くないに違いありません。そんなことが複雑に絡み合って、Xさんの進路変更発言へとつながったのではないかと思います。
進路指導に新たな要素が加わりました。今までの“いい大学”が緊急事態下でも“いい大学”とは限りません。こちらもしぶとく材料を集めていかなければなりません。
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