4月12日(月)
午後の授業が終わって職員室へ降りてくると、この3月に卒業したNさんがいました。進学したJ大学は対面授業を行っており、授業が終わってからKCPにまで足を運んでくれたとのことでした。感染者数が増えていますからこの先どうなるか予断を許しませんが、大学の講義に関しては、満足そうな顔をしていました。
このNさん、実はJ大学への進学に関してひと悶着あった学生です。一時は進路指導の教師と冷戦状態に陥りました。卒業式でも、証書授与の際に私の顔を少し上目遣いに見ていました。いくばくかの後ろめたさを感じていたのでしょう。そのぐらい、何が何でもJ大学という思いが強かったのだと思います。
そういうNさんが、こんなに早い時期に学校へ顔を見せに来てくれるとは全然思っていませんでした。私はゆっくり話すことができませんでしたが、Nさんをずっと見てきたA先生とは談笑していました。わだかまりが完全に消えたかどうかまではわかりませんが、とげとげしい空気は漂っていませんでした。
今までも、在校中は反抗的だったり、全然学校を頼ろうとしなかったり、教師を信用していない風に見えたりする学生がいました。そんな学生が、卒業後にひょっこり学校を訪ねてくると、教師側が逆に盛り上がることもよくありました。戦友とは違いますが、ある共通の空気を吸っていたという気持ちになるのです。
思いでは美化されると言いますが、美化されうる思い出を共有できるのは、お互いを認め合った仲に限られるのではないかと思います。そういう意味で、私たちはNさんの実力も勉学に対する姿勢も認めていたし、Nさんも私たちの真意を理解していたのだと思います。この関係をこれからも維持していきたいです。
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