4月7日(水)
「地位は人を作る」ということわざがあります。林家正蔵師匠を見ると、本当にそうだなあと思います。こぶ平時代は、面白いけど父親の三平には届かないという感じでした。正蔵の名跡を継いだ時は「えーっ」と絶句しました。名前につぶされるんじゃないかとさえ思いました。
でも、今はどうでしょう。どっしりとした風格を感じます。誰と向き合っても貫禄負けすることはありません。本人もかなり精進したそうですが、「正蔵」だからこそそうしたのであり、「こぶ平」のままだったら中途半端なお笑い芸人のままだったかもしれません。
もう一人、歌舞伎の松本白鴎さんも、地位に作られた方だと思います。私はNHKの大河ドラマ黄金の日日で呂宋助左衛門を演じた「市川染五郎」の時から知っています。私から見ればかっこいいお兄さんといったイメージの方でした。程なく「松本幸四郎」を名乗るようになると急に風格が出てきて、若々しさから円熟を感じさせられるように変わりました。そして、松本白鴎です。円熟を超えて伝統の重みがほとばしり出てきました。正蔵師匠同様、名跡にふさわしい芸を磨き続けたのでしょう。
明日から新学期です。私はレベル1を担当します。今学期レベル1に入学した学生は、2年後の卒業の学期には超級クラスに在籍しているはずです。日本語も日本もわからずおどおどしていた学生が、進級するにつれて自信を持ち、卒業の頃には押しも押されもせぬKCPの看板にまで育っている――そんな成長のドラマを見ていくのが楽しみです。
KCPでは、レベルが学生を作るのです。
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