9月10日(木)
Sさんは大学院に進学して、その後トヨタ自動車のような会社に就職したいそうです。トヨタ自動車のような会社ってどんな会社ですか、とクラスの学生に聞きました。有名、給料が高い、グローバル、大きい、…十人十色のいろんな答えが返ってきました。Sさんに確かめてみると、自分の専門が活かせる会社という意味で、トヨタ自動車を挙げたそうです。
「〇〇のような××」は、××の例として〇〇を挙げるときに使いますが、Sさんみたいな使い方をすると、話し手の意図するところが伝わらなくなります。それどころか、誤解を与えかねません。単に「会社」とするのではなく、「自分の専門が活かせる会社」と限定条件を付けなければなりません。限定条件の例として、〇〇があると考えたほうがいいかもしれません。
そういうことをきっちり説明して学生に例文を作らせたのですが、「犬のような従順な恋人がほしい」なんて、ちょっと怖いような、でも、こちらの説明をよく踏まえた例文も出てくれば、「金城武のような人が好きだ」って、こっちの話を全然聞いていない例文も出てきました。
「〇〇のような××」は、学生たちは読んだり聞いたりしたときには理解できるでしょう。しかし、この文型を使って話したり書いたりできるかといえば、残念ながら、まだまだです。これが身に付けば表現に厚みが増すのですが、それができないあたりが、まだ初級なんですね。
それにしても、同じ説明を聞いても気の利いた例文が作れる学生と、形式的にまねしただけの例文がやっとの学生と、ずいぶん差があるものだと毎回考えさせられます。後者が成績が悪いかって言うと、必ずしもそうでもないところに不思議さがあります。今回の授業のところは、来週テストです。学生たちはどんな成績を取るでしょうか。