2つの志望理由

12月17日(木)

朝一番で、SさんのT大学の志望理由書がメールで届きました。読んでみると、先週あたり添削したU大学の志望理由書と内容がずいぶん違います。勉強したいことが全然違うのです。どの大学も全く同じ志望理由書というのも芸がありませんが、大学ごとにやりたいことがそれぞれ違うというのも困りものです。

どうやら、T大学とU大学の入りやすい学部学科を狙っているようなのです。こういうのを「嘘も方便」というのかどうかわかりませんが、なんだかデータに振り回されているような気がします。いや、データというほど客観的ではなく、噂を信じて右往左往しているというのが実情かもしれません。

受験は他の受験生との戦いです。だから、戦略的に動くことも必要です。国立大学の一斉試験日にどこを受けるかなどは、その選択が明暗を分けることだってあります。Ⅰ期とⅡ期の試験日程がある場合、Ⅰ期のほうが入りやすいことは広く知られています。こういう選択の場面でどちらを選ぶか戦略だと思います。

「受かりやすい」が第一の理由で受験校・学部・学科を決めるのは、戦略の範疇には入らないのではないでしょうか。そこに自分がなさすぎます。大学で何を学ぶかによって、その人の人生が決まることだってあります。「入れそう」だけで志望校を決めたら、一生悔いを残すことだってあるでしょう。

でも、今のSさんにこういう意見は響かないに違いありません。弱気の虫に取りつかれ、ごく狭い範囲しか見えなくなっています。焦りが前面に出ていて、冷静さが失われています。教師とはしては、一番指導が難しい場面です。T大学とU大学の志望理由が、Sさんの頭の中では1本筋が通っていることを祈りましょう。

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