11月24日(火)
昼食に出ようと支度をしていると、職員室の入り口付近から明るい叫び声が聞こえました。ちょっといいなりをした見慣れぬ人が入ってきました。「先生、Gさんですよ」と声をかけられましたが、私の頭の中で線がつながるまでしばらく時間を要しました。それもそのはずです。Gさんは13年前の卒業生です。顔つきも変わり、しかもマスクもしていますから、わからない方が普通です。
Gさんは15年前にレベル1に入学しました。その時のクラスの担任が私でした。努力家で、アルバイトをしながらでしたが、成績は常にクラスでトップを争っていました。レベル3課4の時には、新入生に勉強のしかたを手ほどきする先輩役を立派に務めました。その後も順調に進級を続け、KCP卒業後はA大学に進学しました。
A大学卒業後日本で就職したという消息を風の便りに聞きましたが、その後どうなったか全然わかりませんでした。そのGさんが、突然姿を現したのです。今は起業し、社長として多くの従業員の上に立っています。Gさん自身が波乱万丈と語っているように、言い知れぬ苦労はあったでしょうが、それを乗り越えて学校に錦を飾るかのように訪れてくれました。
私は学生の顔や名前をすぐに忘れてしまう方ですが、Gさんのことは明確に覚えていました。それは、やはり、公私ともに全力で留学生活に取り組み、苦しさに押しつぶされることなく夢をかなえたからです。進学後もそこがゴールだと思わず、新たな目標を掲げ、それに向かって突き進み、世間の荒波を乗り切り、今の地位を築いたのです。在校生たちに講演してもらいたいくらいです。
苦労を成長の糧にできる人って、違いますね。
日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ