トリュー

11月7日(土)

Rさんがロビーで手を消毒し、熱を測ってもらって、受験講座・EJUの教室へと上がっていきました。それをちらっと目にしたM先生、「そういえば、Rさん、S大学はどうだったんだろう。同じところを受けたZさんは受かったって言ってきたんだけど…」と心配そうにポツリ。毎度、本番のEJU前日の受験講座は私が受け持つことになっていますから、「じゃあ、授業後にM先生のところへ行けって言っておきます」ということになりました。

授業そのものは無事に終わりましたが、Rさんは過去問の解答用紙の解答欄を間違えていました。「明日の先生はこんな優しく教えてくれないよ」と心の中でつぶやきながら、正しい解答欄を指差してやりました。ほんの一瞬、「あ、しまった」という顔つきになって、またすぐにいつもの冷静な顔に戻り、答えを書き写していました。

授業が終わり、教室の後片付けを済ませて1階に下りると、M先生とRさんが話していました。2人とも深刻そうな表情でしたから、S大学は落ちたなと思いました。

程なくRさんが帰り、M先生から話を聞くと、案の定でした。Rさんは行きたい大学をいくつか挙げ、そこを目指すそうです。その中で、ここは絶対受かるとRさんが言ったのは、“トリュー大学”です。そう言われた時、M先生はもちろんわかりませんでした。私もM先生から話を聞いた時わかりませんでした。Rさんが残したメモには、都留文科大学と書かれていました。

確かに、“都留”を“つる”と読むのは難しいです。しかし、いやしくもそこを受験しようとするなら、正しい読み方ぐらい確認してもらいたいです。…と書こうと思い、都留文科大学のページを開くと、“つる”という表記は見当たりませんでした。どこかにはきっとあるのでしょうが、この大学を受験しようと思っている外国人留学生が見に行きそうなページには、ありませんでした。URLをよく見ると“tsuru.ac.jp…”となっていますが、全受験生で気が付くのは何人でしょう。Rさんがトリューと読んだのも、厳しく責められなくなりました。

都留文科大学は、KCPの学映画行かないのなら、私が入って勉強したいくらい教育の質の高い大学です。でも、外国人留学生にノーヒントで“つる”と読ませるのは、少々酷じゃないでしょうか。

回収したRさんの解答を採点しました。明日もこの調子だったら、都留文科大学には遠く及ばないでしょう。S大学のことは忘れて、目の前の問題に集中してください。

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