敬語

7月8日(水)

おとといに引き続き行った養成講座の授業のテーマは待遇表現。敬語が中心でした。敬語はみんなの日本語の49課と50課、初級の最後に勉強します。毎学期、学生たちが苦労させられるところです。でも、みんなの日本語レベルの敬語が使えれば、日本社会でそれなりにやっていけます。いや、49・50課を身に付けたら、“ガイジン”などと侮られることは絶対にないでしょう。

その敬語ですが、養成講座受講生のみなさんも、毎期、かなり苦労なさいます。尊敬語と謙譲語を混同するくらいは当たり前で、敬語の誤用訂正となると、ほとんどお手上げ状態ですね。社会経験のある方でも、そうそうすんなりいくものではありません。だって、KCPの教師ですら、よーく聞いてみると完璧とは言えませんからね。他人の敬語の間違いに気づいて一人でにやけている私みたいな人種が異常なのです。

毎回話題になるのは“おられる”です。「社長は会議室におられます」「先生はラウンジでくつろいでおられます」は、敬語という観点から正しいかどうかです。“目上の人がどこかにいる”または“目上の人が何かしている”という意味で“おられる”を使っていいかと聞かれたら、少なくとも私は絶対に使いません。

“おる”は“いる”の謙譲語です。その謙譲語を尊敬動詞にしたところで、根本のところでへりくだっているのですから、目上の人に対して敬意を表したことにはなりません。ただし、西日本では「どこにおったん(=どこにいたの)」「ちょっと子供見とって(見ておって=見ていて)」のように、謙譲とか尊敬とか関係なく“いる”の意味で“おる”を使います。ですから、西日本の方の“おられる”は、尊敬動詞と考えてもいいでしょう。

日本語教師を目指そうという、日本語に対する意識が高い方々にとってもこれぐらいややこしいのですから、学生がすぐには使えないのも当然です。明日から、また学生たちがそれに向かって挑戦していきます。

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