厳しい戦い

6月23日(火)

昼食から戻って職員室で仕事をしていると、スーツ姿の見慣れぬ若者が入ってきました。新しい先生が来るという話も聞いていないし、このご時世ですから新入生という線も考えにくいです。それに、私の方を見て妙になれなれしく微笑みかけています。私の顔がよっぽど怪訝そうだったのでしょうか、マスクを外してくれました。笑顔の元が見えました。小さめの歯が隙間なく生えそろった口元は、まぎれもなく卒業生のYさんのものでした。

Yさんは、就活の真っ最中です。やはり、コロナの影響はかなりあるらしく、「採用は厳しい」とはっきり言われることもあるそうです。オンライン面接でも通常の面接でも、難しさは変わりないと言っていました。2種類の難しさのポイントが違う面接をこなさなければならないのですから、去年までの就活生より精神的にきついんじゃないでしょうか。

大学で何が一番大変かと聞いたら、「論文」と即答が返ってきました。Yさんの先生は、論文に関しては一家言ある方のようで、3年生の時に出した論文はボコボコにされたそうです。そういう厳しい訓練を受けたおかげでしょうか、Yさんが使う語彙は社会人のものになっていました。専門分野についても、今の社会についても、実のある議論ができる実力が備わっています。私はいわば身内の人間ですから採点が甘いのかもしれませんが、こんな学生を採ったら、その企業は10年後にきっといい人材を採ったと思うことでしょう。

去年の今頃は、世界中のだれもが1年後にこんな状況になっているなんて、夢想だにしませんでした。Yさんの同級生たちは、みんなどこかで就活に苦戦していることでしょう。どうにか勝ち抜いてほしいと、ひたすら願うのみです。

さて、私は、明日から遅ればせながらのゴールデンウィークと、少々早めの夏休みをいただきます。このブログも、しばらくお休みです。

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