11月6日(水)
「じゃあ、このプリントの文章を2分で黙読してください」と言って、速読練習のテキストを配りました。学生たちはいっせいに読み始めました。
「はい、2分経ちました。読み終わったかな?」と聞くと、みんな首を振ります。しかたないので、1分延長しました。B5・1枚にあまり小さくない字で書かれた文章ですから、3分以上あげたら速読になりません。ですから、3分でも読み終わらない学生もいましたが、そこで切りました。
最初に与えた2分という時間は、決していい加減に決めたものではありません。私が読んで30秒と少々だったので、その3倍ぐらいということで、120秒=2分としたのです。上級の学生なら、私が要した時間の3倍以内で読んでほしいという願いというか目標も込めています。
そういう意味で、このクラスの学生が誰も2分で読み終わらなかったのは、ちょっと力不足じゃないかと思います。このスピードでは、EJUの日本語で高得点は期待できませんし、JLPTのN1に引っかかるかもしれませんが、かろうじて合格というレベルのような気がします。
今までに私が受け持った学生の中で一番速く読めたのは、10年ぐらい前の学生のYさんです。どんな文章でも、私の1.5倍以内の時間で読めました。もちろん、飛ばし読みではなく意味をきちんと理解していました。日本人の高校生が使っている歴史の教科書で勉強して、東京外国語大学に合格しました。さすがだなあと思いました。受験のテクニックによる速読ではなく、読書量と語彙力で鍛え上げた、正攻法のスピードでした。
その後、かなりレベルの高い大学院に進学した学生も受け持ちましたが、日本語を読む速さにかけては、Yさんがいまだに最速です。Yさんの爪の垢をもらっておけばよかったなあと思っています。
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