見直し

10月4日(金)

他の先生方は今学期の新入生のプレースメントテストで大わらわでしたが、私は今月から始まった養成講座の授業をしました。授業の中休みで職員室に戻ってくると、みんな黙々と採点していました。私の周りだけ別の時間が流れているような気がしました。

私が今週・来週と担当するのは日本語文法です。日本人が中学や高校で学ぶ国文法とは視点が少し違います。日本語文法は、日本語を1つの外国語としてとらえていますから、生粋の日本人でも戸惑う場面が少なくありません。“(自動詞)ています”“(他動詞)てあります”なんて、一生気付かない日本人が99%以上でしょう。

ですから、今私がしている授業の名称は「日本語文法初級」ですが、初級の日本語学者向けの文法というよりは、日本語教師道初級の受講生向けというべきでしょう。普段何気なく読んだり聞いたりしている日本語を、今までとは異なる法則で見直す頭の訓練でもあるのです。特に文法シリーズの授業が始まったばかりのころは、頭の切り替えが中心になります。

ですから、受講生にとってこの時期の私の講義は驚きの連続のようです。だいぶ以前の方は、こんなややこしい文法を何も考えずに使いこなしている日本人は天才だなどと感想を漏らしていました。それがネイティブの強みだとも言えますが、文法を意識していないということは教えられないということも意味しています。

自分が毎日使っている言葉を事細かに分析することはほとんどないでしょう。でも、日本語教師が成長していくのに最も身近な教材は自分自身の日本語です。教材の取り扱い方を教えるのが私の講義の役割だと思っています。

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